大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)578号 判決

被告人 日保田榊

〔抄 録〕

記録を精査しこれに現われている被告人の年令、経歴、境遇、本件犯行の動機、態様、犯行後の情況その他諸般の事情殊に被告人は(一)昭和二五年七月三一日盛岡地方裁判所宮古支部において横領罪により懲役六月三年間刑執行猶予(二)昭和二八年八月二四日新潟地方裁判所において殺人並びに横領罪により懲役二年四年間刑執行猶予の判決を受け右(二)の罪の刑の執行猶予期間中更に本件犯行に及んだもので、その犯行も昭和三〇年三月五日から昭和三一年六月五日までの間一年有余に亘り職務上の地位を利用して高利を得る目的で行なつた犯罪であり、これによる被害額は一一三万五〇〇〇円に達し、しかも現在小林貞一の東新潟優良店会に対する積立金三五万円及協同組合東栄会に対する積立金二五万円を被害者である東新潟優良店会において本件被害額の補填に充当すべくその手続中であるが、右東栄会に対する積立金二五万円は小林貞一の妻小林五重名義であるためその成否は未定の状態であり、被告人からは殆ど損害の弁償はなく単に被害者に対し誓約書が差入れられているに過ぎない点を考量すれば、被告人については情状特に憫諒すべきものがあるとは到底認められないのである。しかるに原判決が本件につき被告人を懲役一年に処し裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予し、その間被告人を保護観察に付することとしたのは科刑軽きに過ぎるものと認められるので原判決の量刑不当を主張する論旨は理由がある。

(加納 吉田作 山岸)

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